事業概要

事業名

住民と大学との協働による
鯖街道熊川宿活性化モデル調査

事業実施期間

平成18年9月1日〜平成19年3月30日

事業実施場所

福井県三方上中郡若狭町熊川

事業実施団体

若狭熊川宿まちづくり特別委員会


事業の背景

若狭地方の中央部、山狭にある熊川宿は、江戸時代から明治時代にかけて若狭街道の物資流通の中継点として繁栄した宿場町である。若狭街道は、若狭湾で捕れた魚介類を京都に運ぶために整備された街道の歴史的名称であが、特に鯖が多かったため、「鯖街道」の通称で親しまれてきた。鯖街道は、また、大陸からの文化を京に運び、京の文化を若狭に伝えた文化往来の道でもあった。

若狭街道の両側に町並みを形成する熊川宿は、上ノ町、中ノ町、下ノ町の3地区から構成される。穏やか屈曲と勾配を持つ街道沿いに、塗入造もしくは真壁造、瓦葺屋根の町家が立ち並び、店蔵や土蔵などと共に変化ある背景を形成している。また、街道に沿って水量豊かな前川が流れ、この水路に面する屋敷への出入口には石橋がかけられて、所々に「かわと」と呼ばれる石組の洗い場が残る。熊川宿は、17世紀初期以来に町割の旧態をよく残し、街道沿いに連なる伝統的建造物が、水路や樹木、さらに、周囲に広がる山林や河川などと一体となって若狭地方の宿場町として特色ある歴史的景観を良好に伝えていることから、平成8年7月に文化保存保護法に基づき重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

平成17年度末までには伝統的建造物群保存地区全域の景観整備が概ね完了している。

熊川区総代会は、若狭町教育委員会の協力のもと、熊川区のもつ多様な資源のさらなる活用を進め、特続可能な発展を目指すため、第二次熊川まちづくりマスタープランを策定にあたっては、若い世代の考え方や、外部からの多様な提案を参考にしたいと考える。

若狭町(平成17年3月31日に三方町と上中町が合併)では、伝統的な景観の保全力を注ぐ一方、「かみなか農楽舎」や「若狭ものづくり美学舎」の設立・運営を支援する等、農業やものづくりに携わる人材の育成を進め、地域再生の成果を着実に生み出してきた。「かみなか農楽舎」は平成10年に上中町が農村総合公園を整備し、平成13年に農業生産法人有限会社かみなか農楽舎が設立されて開始された取組みで、都市との交流事業の中に、就農定住を目標とした長期研修事業、インターンシップ事業、体験学習事業等を組み入れている。「若狭ものづくり美学舎」は、自然体験、ものづくり、美術文化という3つの観点から、自然との共生(循環型社会)に対する人々の意識を高めようとする専門家がボランティア講師として協力をしている。熊川まちづくりマスタープランの策定と実施においては、このような、農村と都市の交流、他分野の専門家との連携協力といった視点やノウハウを取り入れていくことも重要である。

若狭町は町内に大学や高等専門学校等を持たないものの、福井大学や、京都市内の大学から車で1〜2時間程度の距離であり、また、これまでの町並み保存の取組を通じて、東京大学、関東学院大学等との交流もある。そこで、本事業では、鯖街道熊川宿の地域資源を大切にした持続的発展の仕組みを考案するため、「住民と大学の連携協力」、「地域資源の活用と人材育成」という2つの観点から、以下の3つの事柄について具体的な提案を行うものである。

1.まちなか研究室(仮称)の開設
2.まちなか研究室(仮称)における住民-大学協働研究プログラムの提案
3.まちなか研究室(仮称)の運営における住民と大学との連携協力のあり方

 


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事業の目的

本事業での提案しようとする「まちなか研究室」とは、空き店鋪や空家等を大学の研究室として使い、大学と当該地域住民とが協力してまちづくり事業を計画し、起業し、その成果をモニタリングしながら、都市再生、地域再生に対する効果を高めていく実践的な取組である。すでに、神奈川県横須賀市、熊本県荒尾市等で類似の研究室が設立され、特産品の開発やワイナリー開設などのコミュニティ・ビジネスが展開されている。

本事業では、このような先駆的な事例を参考に、熊川宿に求められるまちなか研究室のあり方を提案する。熊川区の大半は伝統的建造物群保存地区として指定されており、ここで行われるまちなか研究室活動は、単に経済効果や雇用造出を生み出だすだけではなく、そのプロセスや成果が文化財に対する理解の促進や、町並み保全の推進につながるよう配慮される必要がある。

歴史遺産、自然遺産といった地域資源に配慮し、これらを適切に活用しながら、収益性と公益性のバランスのとれた「熊川宿まちなか研究室」の設立と運営のあり方を調査、検討することが、本事業の目的である。


期待される成果

本事業の実施を通し、以下の事柄を明らかにする予定である。

1.まちなか研究室の開設

  • 伝統的建造物群保存地区である熊川宿にまちなか研究室を置くことの意義と期待される効果
  • 地域において、まちなか研究室の候補となる建造物の所在とその状況

2.まちなか研究室における住民一大学協働研究プログラムの提案

  • 住民と大学との協働による地域づくりの基本的な考え方(基本方針検討、シンポジウム)
  • 住民が考える「地域の課題」とまちなか研究室による起業の可能性
  • 地域住民が学生等に行う「熊川宿講座」

3.まちなか研究室の運営における住民と大学との連携協力のあり方

  • まちなか研究室の所有或いは賃借の考え方
  • まちなか研究室の運営を支える様々な施設(下宿・民宿、飲食店等)
  • 大学間連携の可能性を広げる地域の体制
  • 情報の保管と情報発信
  • 持続的、自立的な運営に向けての諸課題。


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事業実施内容及び体制

事業内容

1)準備・計画

  • 事業全体の準備、計画を行う。対象範囲は若狭町熊川宿伝統的建造物群保存地区及びその周辺とする。

2)委員会等の組織と開催

  • 事業を遂行するための調整、検討ならびに意識決定のための会議として、「若狭熊川宿まちづくり特別委員会」を開催する。
  • これまで熊川宿の保存や地域再生に貢献してきた大学等の研究者、専門家により「大学連携協議会」を組織し、「住民と大学の連携協力」、「地域資源の活用と人材育成」という2つの観点から、まちなか研究室の設置と運営に係る協議を行う。
  • 「住民と大学の連携協力」、「地域資源の活用と人材育成」という2つの観点に係る住民の意向を調査し、まちなか研究室の設置と運営に係る住民からの具体的な提案をすいあげていくため、「住民学生協働ワークショップ」を開催する。
  • 事務局を設置し、責任者1名ならびに、事業事務、事業会計、事業の実施に要する連絡調整を担当する事務局推進員を1名置く。

3)シンポジウムの開催

  • 住民と大学との協働による地域づくりの基本的な考え方について、地域住民の共通理解を形成するため、大学連携協議会が中心となって熊川宿都市再生シンポジウムを開催する。

4)住民意識調査

  • 林業、観光産業、民宿等の町家活用、町並み保存の意識と技術の後継者育成、食文化、自然環境、伝統行事等の民俗文化の継承等、熊川宿の活性化において重要な項目を設定し、今後に取り組むべき事項について住民の意識調査を学生が主体となって実施する。

5)住民学生協働ワークショップ、学生まち歩き

  • 上記4)で住民から指摘があった地域の課題に関し、まち歩きやワークショップを通じてその状況を確認し、大学と住民が協力して事業化していく可能性について検討を行う。その際には、10程度の項目をとりあげ、事業の実効性、収益性、発展性等、検討の観点を定める。また、事業化のプロセスや事業の成果を文化財に対する理解の促進や、町並み保全の推進につなげる工夫についても合わせて検討する。

6)まちなか研究室の設立と運営のあり方に係る検討

  • 若狭熊川宿まちづくり特別委員会と大学連携協議会が合同で、以下の事柄を検討する。
1.まちなか研究室の開設
  • 熊川宿にまちなか研究室を設置することの意義と、期待される効果
  • (大学と地域による協働の活動拠点を置くことの効果、伝統的建造物群保存地区に学生の実習の場を提供することの意義と効果等)
  • 地域において、まちなか研究室の候補となる建造物の所在とその状況
2.まちなか研究室における住民一大学協働研究プログラムの提案
  • 住民と大学との協働による地域づくりの基本的な考え方
  • 住民が考える「地域の課題」とまちなか研究室による起業の可能性
  • 地域住民が学生等に行う「熊川宿講座」
3.まちなか研究室における住民と大学との連携協力のあり方
  • まちなか研究室の所有或いは賃借の考え方
  • まちなか研究室の運営を支える様々な施設(下宿・民宿、飲食店等)
  • 大学間連携の可能性を広げる地域の体制(若狭町、熊川区総代会、若狭町伝統的建造物群保存地区保存審査会、かみなか農楽舎、若狭ものづくり美学舎等と、複数研究教育機関との協力体制のあり方)
  • 情報の保管と情報発信(ホームページの充実、ポスターセッションの実施等)
  • 継続的、自立的な運営に向けての諸課題(地域資源や観光ポテンシャルを活用した協働プログラムの継続的、自立的な企画と運営、ならびに、これらの事業を通じた歴史的環境や自然環境の保全への貢献)
4.その他、必要な事項
     

事業項目

項目

事業概要

1.準備・計画

調査の準備・計画を行う

2.委員会等開催

熊川宿まちづくり特別委員会

本事業の実施全般における調査ならびに意思決定を行う。

住民学生協働ワークショップ

住民意識調査(下欄4.)を実施する。また、その結果に基づき住民有志と学生によるワークショップを開催する

大学連携協議会

熊川宿まちづくりの関る協働プログラムの検討を行う。

3.住民と大学との協働による地域づくりの基本的な考え方を形成するためのシンポジウム

熊川宿の住民と大学との協働による地域づくりの基本的な考え方を検討する。

熊川宿都市再生シンポジウムを開催する

4.住民意識調査

熊川宿の活性化において重要な項目を設定し、今後に取り組むべき事柄について住民の意識を調査する。

5.住民学生協働ワークショップ、学生まち歩き

学生による地域資源調査を実施する。

6.まちなか研究室の設立と運営のあり方に係る検討


7.報告書作成



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業務と組織体の関係イメージ

 


事業実施スケジュール

本事業の事業実施スケジュール(案)を以下に示す。 


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